令和6年度9月学園研修を開催 南海トラフ地震への備えについて学ぶ
令和6年度9月学園研修が、令和6年9月14日に名古屋産業大学文化センター大ホールで開催され、125名の教職員が参加しました。
高木弘恵理事長は、インドの教育制度の現状を知るために、令和6年8月中旬から1週間にわたって、8月15日に独立記念日を迎えるインド現地を訪問し、算数・数学教育が注目されている小学校・中学校、ヒンズー大学やスラム街の学校の視察の他、一般家庭でのホームステイや、独立記念日を祝うお祭り見学、ガンジス川、インド門、タージマハルやアグラ城などの遺産と遺跡見学の様子を撮影した動画や写真を通じて、インドでの近況報告を行いました。
続いて、今年も「繋ぐ、万感、咲かせる」をテーマに、菊華高等学校普通科保育・福祉コースと菊武ビジネス専門学校の生徒で構成する東北ボランティアチーム「三代目TSUBASA」が、令和6年7月27日から7月31日にかけて、宮城県気仙沼市、宮城県本吉郡南三陸町、宮城県石巻市を訪れ、現地での様々な活動を振り返る報告会が行われました。
今年は、現地の語り部ガイドの方と一緒に、震災当日まで宮城県気仙沼向洋高等学校の校舎として利用されていた建物を保存整備した「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」の見学、人と未来をつなぐ場所として創られた「小泉ふるさと村」(宮城県気仙沼市)での震災時の自給自足生活の体験、総合学習の場として海と山岳地帯・市街地の全体を見渡すことができる「海の見える命の森」(宮城県本吉郡南三陸町)での自然の恵みと自足生活の体験、震災機構として保存されている「高野会館」、震災機構として津波で被災した校舎、プール、屋外運動場、野外ステージがそのまま保存されている「石巻市震災遺構大川小学校」、「旧南三陸防災対策庁舎」や「さんさん商店街」(いずれも宮城県本吉郡南三陸町)の見学を行いました。語り部ガイドの方から震災当時のありのままの様子を伺い、命の大切さ、自分自身を守り生きる力について学びました。そして、昨年の“桜前線”の想いを受け継ぐために、小泉ふるさと村の第2拠点である「小泉地区集団移転団地」で、“小泉地区の皆様とのご縁に感謝と心のつながりを未来へ”をモットーとして掲げた「桜寄贈セレモニー」を行い、10本の桜を植栽し、愛知県と宮城県をつなぐ「なおい綱」を贈呈しました。さらに、宮城県本吉郡南三陸町の「平成の森」でワークショップを行い、地域住民の被災体験をもとに防災について共に考え、ふるさと再生にかける私たちの思い、そしてご支援を頂きました多くの皆様への感謝の気持ちを後世に伝え継いでいくことの大切さを教えていただきました。
報告会では、生徒たちが地域での活動の様子を撮影した写真を通じて、現地の語り部ガイドの方から講話を受けた震災当時の様子や復興に向けた様々な取組が進んでいる状況などを伝え、今回の活動を通じて「大規模自然災害の発生に備えて、私たち一人一人が防災・減災に対する意識を高め、事前対策を行っておくことが重要であるということを痛切に感じました」と力強く語っていました。生徒たちの堂々とした発表に、参加した教職員は熱心に聞き入り、時にはそれぞれの生徒の思いがあふれる言葉に涙ぐむ姿もあり、すべての報告が終わると大きな拍手が沸きあがっていました。
最後に、生徒たちは「事前準備から現地での活動を通して、たくさんの方々のご縁をいただくことができました。多くの方の優しさに触れ、また厳しさ、辛さなど “生の声”を聴かせていただく中で、自分事として考えなければいけないと強く想いました。現場でしか感じられないことがあり、この多感な時期に実践的・体験的な活動を経験することができたことは、大きく成長させてくれる大切なきっかけとなると思っています。このような発表の場を設けていただき、本当にありがとうございました。先輩に続いて、今後の学校生活と次の活動に繋いでいけるように努力を積み重ねていきます」と話していました。その姿には凛とした姿勢と真剣な表情が見られました。
続いて、令和6年8月8日に「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を発表した気象庁が、必要に応じて事前避難を行うとともに、すぐに逃げられる服装での就寝や携帯ラジオ・携帯電話の予備バッテリーの充電など、改めて確認するよう呼び掛けられたことを受けて、南海トラフ地震について理解を深め、いつ起こるかわからない災害に備えるために、愛知県防災安全局防災部防災危機管理課主査の松林紀子氏を講師にお招きして、「南海トラフ地震への備え~備えあれば憂いなし~」をテーマにご講演いただきました。
講演では、まず最初に近年に発生した主な地震の概要や被害の状況についてお話ししていただいた後、今後発生する可能性のある南海トラフ地震の「主な発生形態」「想定される愛知県の震度、津波の高さと到達時間」「発生後に予測される人的被害、物的被害、津波被害、交通インフラへの被害、ライフラインへの被害」や「南海トラフ地震臨時情報」などについてくわしく解説していただきました。地震が発生した時に備え、南海トラフ地震臨時情報を正しく理解して、その場に応じた適切な判断と避難行動が、自らの命、大切な人の命を守ることにつながること、日頃から建物の耐震化、家具の固定、ガラス飛散防止フィルム、感震ブレーカーの設置、非常用持ち出し袋の準備、水や食料の準備、安否確認、避難場所や避難経路の確認などの備えを行うこと、テレビやラジオ、緊急メールなどで気象庁からの気象情報、市町村からの避難情報を収集すること、日頃から防災意識を高め、地震が起こった時にその場に応じて身を守る心構えを持つことが大切であることを学びました。
参加した教職員は「南海トラフ地震についての理解が深まり、地震に対する危機感を持って習慣的に対策することが大切であることを痛感しました。子どもたちに南海トラフ地震への備えや避難訓練の大切さを伝えていきたい」と話していました。